第87回夏期講習会プログラム 各実習の概要

7月28日(金) 9:00~16:00

1) 山路 晃広(先端結晶工学研究部)
 「マイクロ引下げ法を用いた単結晶作製とその評価」

キーワード:単結晶、マイクロ引下げ法、結晶成長、光学特性評価
内容:単結晶の材料探索にこれまで用いられてきた手法として、マイクロ引き下げ法がある。この結晶育成法の最大の特徴とは、高速の単結晶作製であり、従来の結晶作製法であるチョクラルスキー法やブリッジマン法と比較して数倍から数十倍の育成速度にすることが可能であり、1 日 1組成の単結晶が得られることから大規模な単結晶の材料探索を可能にしてきた。講習では実際にマイクロ引き下げ法による結晶育成を行う。また、透過率・フォトルミネッセンス測定により、単結晶の光学特性を評価する。
定員:5名
注意事項:実習として結晶育成を行うため、汚れても良い服装で来てください。

2) 小泉 雄一郎(加工プロセス工学研究部門)
 「フェーズフィールド法による微細組織発達シミュレーション」

キーワード:スピノーダル分解、勾配エネルギー、拡散、差分法、可視化
内容:金属材料の強度や磁性等の特性はその微細組織に強く依存する。近年、微細組織形成のシミュレーション手法としてフェーズフィールド法が急速に発展している。本実習ではその概要を、基礎的な数式の数値計算プログラム化を通じて理解し、シミュレーションの実行、フリーウェアによる可視化を行い、組織形成過程とその制御のための支配因子を理解する。
定員:5名
注意事項:受講者はDVDドライブ付きWindowsノートPCを持参することが望ましい。(Mac、Linuxの場合は事前にプログラム開発環境の設定が必要。)

3) 前田 健作(結晶物理学研究部門)
 「Siの融液成長過程の直接観察実験」

キーワード:半導体シリコン、融液からの結晶成長、固液界面
内容:石英坩堝中のシリコンウエハを加熱して融解した後に、冷却して凝固する様子を直接観察する。シリコンの融点は高温(1414℃)であるが、観察窓を設けた特別な電気炉とデジタルマイクロスコープを用いることで固液界面を詳細に観察することができる。成長速度を徐々に速くして固液界面が不安定化する様子を観察し、その時の成長速度と過冷却度を求める。
定員:3名
注意事項:半袖不可、作業服の着用を推奨

4) 和田 武(非平衡物質工学研究部門)
 「脱成分法を用いたポーラス金属の作製と評価」

キーワード:脱成分法、ナノポーラス金属
内容:ナノポーラス金属はナノ気孔や莫大な表面積によって、緻密材とは大きく異なる物性を発揮することが知られている。本実習では、ナノポーラス金属を作製する代表的な手法である水溶液中の腐食現象を利用した脱成分法(dealloying)、および溶融金属中の成分溶出現象を利用した脱成分法によっていくつかのナノポーラス金属を作製する。得られたナノポーラス金属の形態を走査型電子顕微鏡などによって観察する。
定員:4名
注意事項:実験に適した服装(長袖、長ズボン)

5) 志村 玲子・有馬 寛 (ランダム構造物質学研究部門)
  「X線回折法による物質の構造決定」

キーワード:X線回折、結晶構造
内容:汎用のX線粉末回折計およびイメージングプレートを搭載する回折計を用いて、X線粉末回折法に関する基礎的な測定手法といくつかの応用例について実習を行う。アプリケーションの一つとして、高温条件における物質の構造変化の追尾実験を実施する。また、今般、構造評価の要求が多くなっている、結晶基板あるいはガラス基板に成長させた薄膜試料に関して、汎用装置を用いて正しく物質の構造に関する情報を得るための勘所について実習する。
定員:5名
注意事項:特になし

6) 西嶋 雅彦(先端電子顕微鏡センター)・嶋田 雄介(不定比化合物材料学研究部門)
 「透過電子顕微鏡を用いた3次元構造解析と高分解能観察」

キーワード:構造・組織解析、透過電子顕微鏡、材料物性、三次元トモグラフィー法、走査型透過電子顕微鏡、金属材料
内容:物質、材料の特性は材料の微細構造に大きく左右される事から、透過電子顕微鏡(TEM)による材料構造解析は新たに材料を開発する上で欠かせない。その中でも原子スケールでの高分解能観察とマイクロスケールでの3次元構造観察(電子線トモグラフィー)は特に重要であり、近年急速に発展し普及しつつある。高分解能観察は最新の収差補正による原子位置の直接観察であり、電子線トモグラフィーはTEMを用いた一連の投影像取得とソフトウェアを用いた3次元形態再構成・可視化から成る。本実習では、実用材料の原子構造を高分解能観察により捉えると共に、電子線トモグラフィーによる連続傾斜像撮像と3次元再構成を通して、ミクロ組織の実際について理解を深める。
定員:3名程度(上限5名)
注意事項:特になし